お口の基礎知識・豆知識
歯磨きをしていますか?そう聞くと、「必要だと知らなかった」「難しくてやらせてくれない」「やり方がわからない」など、できていないという回答がとても多く返ってきます。
実はそれだけ多くのワンちゃん達が、歯磨きが不十分ということです。
ここでは、ワンちゃんのお口事情や歯磨きの大切さなどについて、ご紹介します。
1. ワンちゃんのお口事情
2. 歯垢・歯石ってなに?
3. どうして歯石ができるの?
4. 歯周病
5. 歯周病予防
6. ステップアップ歯磨き
7. 当院でのデンタルケアの特徴
8. スケーリング(歯石除去)
9. デンタルグッズ
10. 歯磨き教室
ワンちゃんのお口事情
特に高齢になるにしたがって発症率は高くなります。
また大型犬より小型犬の方が、歯周病の進行が早く重度になる傾向にあります。
そのため歯肉炎や歯周病などの病気はとても身近な問題です。

歯垢・歯石ってなに?
ワンちゃんの口の中にはとてもたくさんの細菌がいます。
その細菌のかたまりが歯垢(プラーク)と言われるものです。
この歯垢が唾液中のミネラルなどで石灰化したものが歯石です。





どうして歯石ができるの?
ワンちゃんの唾液は人と違いカルシウムなどのミネラルが非常に多く存在します。
また人の口と違って、ワンちゃんの口の中ははぼ常にアルカリ性です。
この2つの要因が、ワンちゃんで歯石ができやすくなる理由です。
また歯垢は約3日で歯石になってしまいます。
補足ですが、ワンちゃんには虫歯がほとんどありません。
これは歯の形状と、口の中がアルカリ性のためと言われています。
歯周病
歯周病は、口腔内細菌によって歯周組織(歯茎など)が炎症を起こしてしまった状態です。
最初は歯茎が赤いだけですが、悪化すると口が痛くてご飯が食べられなくなるだけでなく、以下のような様々なトラブルを引き起こします。
- 歯の動揺や脱落:歯を支える歯茎や骨が悪くなり、歯がぐらついたり、抜け落ちてしまいます。
- 外歯瘻(がいしろう):歯の根元の骨が解け、瘻管(ろうかん)と呼ばれるトンネルができます。この瘻管が皮膚の下に開通すると患部が腫れ、最終的に穴が開き膿が出てきます。また稀ですが、皮膚の下でなく眼の裏に開通すると眼が飛び出してくることもあります。
- 全身疾患:口腔内細菌が血液を通して全身にまわると、心臓や肝臓、腎臓に病気を引き起こしてしまうケースがあります。
このように、お口のトラブルは歯だけでなく全身にも悪影響を起こすとても怖いものです。
お口のトラブル予防
歯周病予防のために実際の方法や、当院での口腔内ケアについいてを紹介します。
歯周病予防
人でも毎日歯磨きをするのと同じで、ワンちゃんも毎日歯磨きなどのデンタルケアをしてあげることが一番の予防方法です。
デンタルケアで歯垢とともに口腔内細菌の数を減らすことがとても大切です。
デンタルケアといっても色々な方法がありますのでその一例を挙げてみます。
1.歯ブラシで歯磨き
歯と歯茎の間もキレイにできて一番理想的な方法です。しかし実際にうまくできないケースが多いのが現実。
2.指にガーゼなどを巻いて歯磨き
歯ブラシよりは簡単だけど、歯と歯茎の間が磨けない。
3.デンタルガム
おやつを食べる感覚で歯磨きができる方法。
4.デンタルフード
ご飯を食べながら歯垢付着を軽減できます。
そして効果が高い順番は、「歯みがき > 歯みがきシートや液体歯みがき > デンタルガム > デンタルフード」と言われています。
このように色々な方法があり、効果も様々ですますが、一番大切なことは飼い主様にとってもワンちゃんにとっても無理なく続けることができる方法を選ぶことです。その中で、できるのであれば徐々に歯磨きの練習を始めることが大切です。
まずは飼い主様のライフスタイルや、ワンちゃんの歯の状態・性格などから、その子にあったデンタルケアを行うことが大切です。
また歯周病などのトラブルがあるワンちゃんに歯磨きをすると、痛みや不快感から口を触らせてくれないことが多く、無理をすると二度と触らせてくれなくなったり、咬むようになったりします。
当院では、その子にあった方法をアドバイスさせていただいておりますので、スタッフまでお気軽にご相談ください。
ステップアップ歯磨き
→ お勉強やトレーニングは無理せず短時間からスタートしてあげてください。
・他に興味のあることがあれば、気が散るのも当たり前。
→ 遊んだ後に練習するなど、その子にあったタイミングを見つけてあげてください。

Step1.お口を触ることに慣れましょう

1:口の周りを優しく触ってみましょう。

2:口の前側の唇を優しくめくってみましょう。

3:奥歯付近の唇も優しくめくってみましょう。
・オヤツなどを使ったり、たくさん褒めてあげて、口を触らせたらいいことがあるんだよ、と教えてあげてください。
Step2.指で歯を触る練習をしましょう

4:指で犬歯を触ったり擦ったりしてみましょう。

5:指で切歯(前歯)を触ったり擦ったりしてみましょう。

6:指で臼歯(奥歯)を触ったり擦ったりしてみましょう。
・ワンちゃんが嫌がる前に触るのをやめて、すぐにご褒美をあげたり褒めてあげてください。
・歯磨きペーストなどを使うと嫌がりにくい子が多いです。
Step3.指にガーゼなどを巻いて歯を磨いてみましょう

7:ガーゼなどを指に巻いて犬歯を触ったり磨いたりしてみましょう。

8:ガーゼなどを指に巻いて切歯(前歯)を触ったり磨いたりしてみましょう。

9:ガーゼなどを指に巻いて臼歯(奥歯)を触ったり磨いたりしてみましょう。
・ガーゼ等は丈夫なものを選び、指にしっかり装着しましょう(間違って食べたりしないように注意)。
・歯周病がある場合など、痛みを与えてしまったり出血をする場合がありますので、決して無理をせず、ご相談ください。
Step4.歯ブラシで歯磨きをしてみましょう

10:歯ブラシで犬歯を触ったり磨いたりしてみましょう。

11:歯ブラシで切歯(前歯)を触ったり磨いたりしてみましょう。

12:歯ブラシで臼歯(奥歯)を触ったり磨いたりしてみましょう。
・歯ブラシは破損による誤食に注意してください。
・歯ブラシの毛先のタイプは色々あり、歯や歯茎のコンディションなどを把握し、その子に合った物を選ぶことが大切ですので、ご相談ください。
当院でのデンタルケアの特徴
1.歯を含め口の中の状態をワンちゃんが見せてくれる範囲でチェックし、その子にあった方法や目標をご提案します。
2.治療や処置が必要な場合は、スケーリング(歯石除去)や抜歯などの処置を提案し、同意が得られれば処置を行います。
3.スケーリング後は歯石の再付着を起こりにくくするために、必ず歯面研磨を行います。
スケーリング(歯石除去)
付いてしまった歯石が多い場合や、歯石などが原因で歯周病を起こしてしまっている場合は歯石除去が必要になる場合があります。
歯石除去は全身麻酔下での処置となりますので、ご希望の飼い主様は予約が必要となります。
お食事・お水止めなど必要事項をお伝えしますので、お電話の方はメモをご準備ください。
全身麻酔前の血液検査など必要な検査を行います。
検査結果や質問等への説明後、お預かりします。
落ち着いたらデンタルガムや歯磨きなど、その子にあった方法で予防をしましょう
歯磨きについての相談など、お気軽にご相談ください
デンタルグッズ
当院ではデンタルガムなどの取り扱いを行なっています。
気になる方はスタッフまでお問い合わせください。
歯磨き教室
歯磨きをしたいけどうまくできない方や、興味がある方など、そんな皆様が集まって歯磨きの練習をしてみませんか?
当院では飼い主様のちょっとした悩みをサポートできるよう歯磨き教室を開催しています。
気になる方はこちらもどうぞ。

犬の予防医療TOPへ